門前薬局の役割

調剤薬局に勤める薬剤師は、病院から発行される処方箋に従って必要な医薬品を患者に処方する役割を担う人材です。 昨今の少子高齢化社会においては患者数が増加するということが予測されていますので、病院の負担をより軽いものにするため、在宅医療の推進が急務とされています。
在宅医療推進に当たっては薬剤師がより柔軟に患者に対して対応していくことが求められてくることでしょう。 そうした中では診療報酬改定をはじめとする様々な政策によって世の中の状況をコントロールしていくこととなりますが、 こうした中で最も大きな影響を受ける存在の一つとなったのが「門前薬局」です。

門前薬局とは調剤薬局の中でも、それぞれの都道府県を代表するような大病院の近くに店を構えている薬局をさす言葉です。 門前薬局は大病院に通院する患者の処方箋受付に特化する形で営業を行っており、特定の病院からの処方箋が、 請け負う枚数の9割を超えるなどといったような状況が続いています。 大型病院に通う患者にとって病院の近くに調剤薬局があるという今の現状は、それぞれの負担を減らすという点において非常に大きな意義を持つことです。 ですが昨今の医療制度改革においては、それぞれの地域に密着した調剤薬局が重視される形に変化してきています。 住宅街の近くなどに店を構え、複数の病院で発行される処方箋を請け負っていくという姿こそが国の求める姿であるため、 特定の病院の処方箋を主とする門前薬局に対しては、様々な改定が行われています。

中でも特に大きな変更となったのが「調剤基本料」の改定です。2014年に行われた診療報酬改定において、 調剤基本料は同年の消費税増税にあわせて10円の値上げとなりました。しかしこれは大型の門前薬局を除いてのことであり、 門前薬局に関しては値上げがされるどころか、250円まで引き下げられるという形になったのです。 施設基準を満たした上で届出を出すということによって受けられる基準調剤加算も門前薬局の場合は受け付けないというようにされましたので、 今後収益性が低下する門前薬局のあり方は大きく変化していくこととなります。

こうした環境において、収益性の下がった門前薬局にどれだけの薬剤師が残ることになるのか、 また患者数が増えるにもかかわらず調剤薬局で経営悪化が発生するという業界において、十分な薬剤師の人数が確保できるのかといったような疑問の声も上げられており、 業界の変化はより注意深く観察するべきといえるでしょう。